大きな転換点となるか?2023年7月24日週のFOMC、日銀決定会合、米国決算など重要イベントが目白押し!投資家はどう行動すべきなのか?

bank city in storm

目  次

はじめに

2023年7月24日週は、世界の金融市場に大きな影響を与えるイベントが多数予定されています。米連邦公開市場委員会(FOMC)や日本銀行(日銀)の金融政策決定会合、米国の主要企業の四半期決算発表などがあります。これらのイベントは、米国や日本の金融政策や経済見通し、株式市場や為替市場の動向に大きな転換を及ぼす可能性が高いと考えています。投資家は、これらのイベントにどう対応すべきなのでしょうか?この記事では、それぞれのイベントについて現状を把握し、市場の注目点や予想を紹介します。

来週は日米ともに目も回るようなイベントの連続です😓

まま元気出して行ってみよー!

はーい!

FOMC:利上げは織り込み済み、次回以降の見通しに注目

7月25日と26日に開催されるFOMCでは、25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げが決定されるという見方が市場ではほぼ確実視されています(7月23日時点:99.2%)。これで今年4回目、通算8回目の利上げとなります。そのため、市場参加者の関心は、すでに次回FOMC(9月19日・20日)以降の利上げの有無や最初の利下げ時期に移っています。

CME利上げコンセンサス
<a href=httpswwwcmegroupcomjamarketsinterest ratescme fedwatch toolhtml>20237利上げコンセンサス<a>

前回6月に公表されたFOMCメンバーの見解を示す「ドットチャート」では、2023年末の政策金利水準の中央値が5.625%でした。現在、FF金利(政策金利)の誘導目標は5.00%~5.25%です。仮に7月に25bpの利上げが決定された場合、年内さらに25bpの利上げが決定される余地は残っていると考えられます。

2023ドットプロット
<a href=httpswwwcmegroupcomjamarketsinterest ratescme fedwatch toolhtml>FOMC 20236ドットプロット<a>

しかし、市場では7月で利上げが打ち止めとなり、その後しばらくFF金利は据え置かれ、来年3月19日・20日のFOMCで利下げが開始されるとの見方が優勢となっています。これは、米国のインフレ率がピークアウトし、経済成長が減速するというシナリオに基づいています。

ここに関してはちょっと心配ね。

市場関係者のコンセンサスは毎回FOMC寄りに修正されているしね~

市場関係者利上げコンセンサス
<a href=httpswwwcmegroupcomjamarketsinterest ratescme fedwatch toolhtml>市場関係者利上げコンセンサス<a>

しかし、足元で米国の雇用情勢は安定しており、個人消費は底堅く推移しています。インフレはすでに最悪期を脱していますが、6月消費者物価指数(CPI)は食品とエネルギーを除くコア指数で、前年同月比の上昇率はまだ4.8%の水準にあります。そのため、物価の伸び率を持続可能な2%のレベルに戻すには、7月以降も利上げは必要と判断され、7月で利上げ終了との見方はややハト派的と思われます。

core PCI
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core-PCE-20230723
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少なくとも今回7月のFOMC声明やパウエル議長の記者会見における発言が、利上げ打ち止めを示唆する内容となる可能性は低く、政策判断はデータ次第とする従来の見解を繰り返すとみられます。パウエル議長は6月29日の講演で、「ある会合で行動しない可能性も、行動する可能性もある」とした一方、「連続での行動(利上げ)を検討することも排除していない」と述べました。

市場のコンセンサスと異なり、私は7月と11月(従来は7月と9月)の利上げと、来年7-9月期(従来は来年4-6月期)の利下げを予想しています。FRBは雇用や物価のデータを見極めつつ、慎重に利上げのタイミングを計り、11月以降はFF金利を長期間据え置き、量的引き締め(QT)を進めるとみています。その結果、インフレは一段と沈静化し、米経済はソフトランディング(軟着陸)に向かうと考えています。特にFRBは利上げよりもQTに軸足を持っていくと予想しています。

理由としては、FRBがQTを進める一方で、バイデン政権の財政支出をコロナ前に戻っていないことです。FRBと真逆の行動であり、この点に関してはFRBとして軌道修正を進める可能性は高く、政権と中央銀行の方向性の違いを明確に表している部分であるといえます。

バイデン大統領、放出しすぎじゃないかしら。

FRBのQT(引き締め方向)と財政支出(緩和方向)で矛盾が生じてるよね

FCI(金融環境指数)も緩和方向に傾いてるね

米国政府の財政支出

日銀決定会合:YCC継続か、インフレ上昇に対応か

7月27日と28日に開催される日銀決定会合では、現行の金融政策を維持するかどうかが焦点です。現在の金融政策は「イールドカーブコントロール(YCC)」と呼ばれるもので、2016年9月から実施されています。YCCでは、短期金利をマイナス0.1%に据え置き、長期金利(10年国債利回り)を約0%に誘導することで、金利曲線(イールドカーブ)をコントロールしようとしています。

しかし、この政策に対しては様々な批判や懸念が出ています。例えば、

  • 金融機関や保険会社などの収益性や資本効率が低下する
  • 債券市場の流動性や価格形成機能が低下する
  • 日銀の国債保有残高が増加し、財政運営に影響を与える
  • インフレ目標の2%に達しないまま、金融政策の余地が失われる

などです 。

このような背景から、日銀は7月の決定会合で、YCCの見直しや修正を行うとの観測が市場で高まっています。具体的には、長期金利の誘導目標を約0%から0.1%~0.2%程度に引き上げるというものです。これは、金融機関や保険会社などの収益性を改善するための措置として期待されています。

一方で日本でのインフレは、コアCPI(除く生鮮食品)は前年同月比+3.3%、コアコアCPI(除く生鮮食品及びエネルギー)は季節調整済前月比+0.2%と2か月連続での低下、前年同月比は+4.2%と前月の同+4.3%から低下しました。インフレがここで収束するかどうかの判断も大きく日銀の決定には影響されるものと思われますが、日銀は今後インフレは終息するとの見方をしています。

長期金利を引き上げることは、ドル円相場にも影響を与えます。現在、ドル円相場は約141円台で推移していますが、これは米国と日本の金利差が拡大していることが主な要因です。米国ではFRBが利上げを続けており、10年国債利回りも約3.8%まで上昇しています。一方、日本では日銀が長期金利を約0%に誘導しており、10年国債利回りは約0.4%です。このように、米国と日本の金利差が広がれば、ドル高・円安の圧力が強まると考えられます。この点に関して、政府・日銀の思惑が交錯するするのではと考えています。そういった意味で今回の日銀決定会合の行方は非常に難しい状況です。

ネコままは利上げには懐疑的なのよねー

ままはいつも国債と円の信用を心配してたからね

ただ、このタイミングで利上げを実施すれば、一気に円高に振れる可能性は否めず、また国債の利払いの上昇、輸出企業業への影響を考えると、今回一気にYCCを解除するという憶測は、かなり冒険的ではないかと考えています。何らかのYCC解除に関するアナウンスは、インフレ抑制という側面からあり得る可能性はゼロではありませんが、過大な期待はすべきではないというのが私の見解です。

米国決算:AI関連株、ビックテック銘柄が注目される

米国の4~6月期(第2四半期)決算発表が本格化しています。市場では、人工知能(AI)に関連した銘柄や、巨大テクノロジー企業(ビックテック)の業績に注目が集まっています。一方で、米金融政策の行方や中国経済の減速懸念なども意識されており、米株式市場は上昇基調を維持できるかどうかが焦点となっています。

いよいよAIの評価がすこしづつわかってくるね。

今回のビッグテックの決算はとっても楽しみにゃ!!

AI関連株は需要拡大に期待

AI関連株は、生成AI(Generative AI)などの新技術の登場で需要拡大が見込まれています。生成AIとは、データから新たなデータを生成する技術で、画像や音声、文章など様々な分野で応用されています。生成AIには大量のデータを高速に処理する能力が必要であり、半導体やクラウドコンピューティングなどのインフラ関連企業にとっては追い風となっています。

半導体関連では、19日にオランダの半導体製造装置メーカーのASMLホールディング <ASML> が決算発表を行いました。同社は第2四半期の売上高が前年同期比21%増の40億ユーロ(約5200億円)、純利益が同30%増の11億ユーロ(約1400億円)となり、市場予想を上回りました。同社は最先端の半導体製造技術である極端紫外線(EUV)露光装置の出荷台数を今年は55台に増やすと見込んでおり、半導体需要の高まりに対応しています。

20日には台湾の世界最大のファウンドリ(受託製造)企業である台湾積体電路製造(TSMC) <TSM> が決算発表を行いました。同社は第2四半期の売上高が前年同期比28%増の137億ドル(約1兆5000億円)、純利益が同11%増の46億ドル(約5000億円)となり、市場予想を若干下回ったものの、堅調な業績を示しました。同社は5Gスマートフォンや自動車用チップなどの需要が強く、生産能力を拡大する計画を進めています。

また、25日にはテキサス・インスツルメンツ <TXN> が決算発表を行う予定。同社はアナログIC(集積回路)やマイコンなどを製造しており、生成AIにも応用されています。市場では同社の第2四半期の売上高が前年同期比41%増の44億ドル(約4800億円)、純利益が同40%増の21億ドル(約2300億円)となると予想されています。

ビックテックはコロナ禍収束の影響を乗り越えるか

ビックテックと呼ばれる巨大テクノロジー企業も、第2四半期決算に向けて市場の関心が高まっています。コロナ禍でオンラインサービスの利用が増えたことで、昨年は好業績を収めたビックテックだが、今年はワクチン接種の進展や経済再開の動きによって、その勢いが続くかどうかが注目されています。

25日にはマイクロソフト <MSFT> とアルファベット <GOOG> が決算発表を行う予定。マイクロソフトはクラウド事業「Azure」やオフィスソフト「Microsoft 365」などの需要が高く、第2四半期の売上高が前年同期比16%増の440億ドル(約4兆8000億円)、純利益が同30%増の160億ドル(約1兆7000億円)となると予想されています。アルファベットは検索エンジン「Google」や動画配信サービス「YouTube」などの広告収入が回復し、第2四半期の売上高が前年同期比46%増の560億ドル(約6兆1000億円)、純利益が同90%増の190億ドル(約2兆1000億円)となると予想されています。

26日にはメタ・プラットフォームズ <META> が決算発表を行う予定。同社はSNS「Facebook」や写真共有アプリ「Instagram」などを運営しており、コロナ禍でユーザー数や広告収入が増加しました。第2四半期の売上高は前年同期比49%増の290億ドル(約3兆2000億円)、純利益は同70%増の110億ドル(約1兆2000億円)となると予想されています。

3日にはアップル <AAPL> が決算発表を行います。同社はスマートフォン「iPhone」やタブレット端末「iPad」などのハードウェア製品や、音楽配信サービス「Apple Music」や動画配信サービス「Apple TV+」などのサブスクリプションサービスなどで収益を上げています。第2四半期の売上高は前年同期比22%増の730億ドル(約8兆円)、純利益は同29%増の210億ドル(約2兆3000億円)となると予想されています。

注目決算企業の発表日とコンセンサスEPS

企業名ティッカー決算発表日予想コンセンサスEPS
マイクロソフトMSFT7月25日$1.921
アルファベットGOOG7月25日$19.332
メタ・プラットフォームズMETA7月26日$3.033
アップルAAPL8月3日$1.01
NXPセミコンダクターズNXPI7月24日$2.27
ダナハーDHR7月25日$1.09
PACCARPCAR7月25日$1.59
ネクストエラ・エナジーNEE7月25日$0.57
ビザV7月25日$1.11
スナップチャット(Snap)SNAP7月25日-0.17
テキサス・インスツルメンツTXN7月25日$1.30
サーモフィッシャー・サイエンティフィックTMO7月26日$2.66
コカ・コーラKO7月26日$0.60
ランブス・リサーチLRCX7月26日$4.94
マスターカードMA7月27日$1.53
アッヴィABBV7月27日$1.97
インモードINMD7月27日$0.63
ブリストル・マイヤーズ・スクイブBMY7月27日$0.87
マクドナルドMCD7月27日$1.93
インテルINTC7月27日$0.86
クレーター・インコーポレイテッドKLAC7月27日$2.22
エンフェイズ・エナジーENPH7月27日-0.01
アマゾン・ドット・コムAMZN7月28日$2.50
エクソン・モービルXOM7月28日-0.64
シェブロン・コーポレーションCVX7月28日-0.93

米金融政策や中国経済の減速懸念も意識

一方で、米株式市場にとってリスク要因となっているのは、米金融政策や中国経済の減速懸念。米連邦準備制度理事会(FRB)は6月に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、2023年までに利上げを2回行うとの見通しを示しています。これは市場予想よりもタカ派的な姿勢と受け止められ、株式市場に一時的な動揺をもたらしました。しかし、その後のFRBの発言や経済指標の動向から、利上げペースは緩やかであるとの見方が強まり、株式市場は落ち着きを取り戻しました。7月27~28日に開催されるFOMCでは、利上げの時期やペースだけでなく、資産買い入れの縮小(テーパリング)の開始時期や方法についても注目されています。

中国経済の減速懸念も米株式市場に影響を与えています。中国は6月の鉱工業生産や小売売上高などの主要経済指標が市場予想を下回り、景気回復の足取りが鈍化していることが明らかになりました。また、中国当局が教育や不動産などの分野に対して規制強化を進めており、これが経済活動に悪影響を及ぼすとの懸念も高まっています。中国は米国の重要な貿易相手国であり、世界第2位の経済大国であるため、その動向は米国企業の業績にも影響を与える可能性は高い。

投資家はどのように行動すべきか?

少なくとも7月FOMCの利上げは確実視されており、引き続き米国企業には厳しい状況が続くと予想されます。大手銀行決算も予想を上回り金融機関が安定している状況であれば、FOMCとしてはインフレ・雇用環境に集中して利上げを判断できる状況がそろったといえます。この観点からいえば「現時点では」FOMCのドットプロット通りに利上げが進むと考えてよいと思います。

来週7月27日には米国GDPの発表もあり、米国決算とともに非常に注目され、今後の米国経済の先行きを占うこととなります。日本人米国投資家にとっては為替も非常に需要であることは当然で、日銀決定会合の内容も非常に重要といえます。

アノマリーで言えば、7月~9月は転換点を迎えることも多く、まさにそういった時期にふさわしいイベントぞろいです。投資家としてしっかり森を見るべき時だと思います。

「木を見て森を見ず」にならないよう、経済全体の景色を離れた場所から見てみましょう~

はいにゃー!

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