NVIDIA祭りでわっしょい!!米国株急騰万歳!!で無事に終わるのか?

NVIDIAの好決算と次四半期のさらなるアナウンスメントで米国株は絶好調です!セクター別チャートを見てもCommunication Service、Technologyが絶好調なのが分かります。皆さんご理解の通りChatGPTをはじめとするAI産業の期待値が相当高いことと、実際に私たちの生活にも数々のアプリケーションが入り込んできていることが実感としてあり、これが実体株価の上昇を後押ししていることは間違いありません。

man with fireworks

AIとNVIDIAの勢いはどこまで?

下記のグラフは過去3か月間のセクター別騰落率で、この二つのセクターが圧倒的な上昇を見せていることが分かります。ほぼ20%の上昇を見せており、先週金曜の段階でもCommunication Service、Technologyがそれぞれ+4.68%、+1.01%の上昇でした。FRBによる利上げの最中にも関わらず、このような上昇を見せることは、いわゆるBoomingであり如何に市場で評価と期待が高いかわかります。事実、次々とAIに関するサービスは様々な業界に提供されつつあります。日本で実感をもって勢いを感じるという事は、米国ではさらに勢いを感じていると考えるべきかと思います。

セクター別3か月騰落率

インフレと利上げの行方は?

一方で、物価、インフレについては再度上昇の勢いを見せており、次回のFOMCでの利上げも意識されつつあります。下記はCME利上げコンセンサスですが、1週間前までは利上げ無しが82.6%でしたが、先週のPCE等のマクロ経済指標によって完全に逆転し、利上げが64.2%となっています。銀行の貸出基準の締め付けと利上げが本当に実現した場合、銀行の破綻の問題は再度注目されることは必至となります。さらに今週末は失業率の発表もあります。したがって今週は山場になると想定しています。

CME FED Watch Tool

中期的な見方は?

前四半期の企業利益は-6.8%と大きく減少。これは前期から利益率の減少に引き続いており、GDPと雇用への影響が懸念される事態です。詳しくはマクロページへのリンクを添付しますので、こちらをご覧ください

またクレジットカード残高は伸び続け、個人貯蓄率はいったんは増えたものの再度下落を始めました。小売りは伸びが鈍化しているにも関わらずです。しかし、コアPCEは高止まりまたは再上昇ということが、さらに混乱をさせます。

簡単に言えば、各指標の時差がこのような状況を作り出しています。各指標には先行性と遅効性があります。一番の先行指数は企業の原価ともいえる、全製造業PPIと全産業のPersonal incomeです。FREDのデータによると、全製造業PPIはついに横ばいになっていることが分かります。また、Personal incomeは上昇のスピードが変わりません。これらの要因が遅行指数である企業利益を圧迫している原因です。

先行指数と遅行指数が理解できると、次に何が起こるかある程度の予測は可能です。先行指数のPPIとPersonal Incomeを見ると企業原価が下がる気配はありません。また、クレジット残高は伸び続け、個人貯蓄は下落を始めています(おそらくMMFへの逃避、中小銀行からの資金移動も関連している可能性があります)。小売売上も横ばいで今後も上昇は見込みは薄いと考えています。

次に起こるのは再度の中小銀行の信用不安、そして企業収益の悪化がおこり、同時並行もしくは遅れて失業率の悪化です。また、今話題の米国の債務上限問題が解決すると一気に米国債の発行が再開されます。これにより国債価格の下落と利上げが発生します。6月の利上げ停止が確約されていれば、米国債は買われるはずなのですが、先週のマクロ指標で状況が変わってしまいました。

私の現状把握は以上です。この流れにAI Boomが対抗しているわけですが、AI Boomはかなりの勢いがありますので、関連銘柄はかなり強い抵抗をすると思います。もしかすると上がり続ける可能性すら感じます。非常に難しい局面ですが、少なくともAIと縁遠いバリュー株は通常不況に強いとされますが、今回は逆転するかもしれません。というか、そもそも論でいうと、リセッションバリュー株が強いというのはある意味正しく、ある意味幻想です。リセッション時にバリュー株とグロース株でドローダウンがそれほど違わないことは、過去の株価指数を調べるとよくわかります。

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