米国決算説明会のキーワードから見えてくる企業や業界の動向と株式市場の展望とは?

米国決算説明会のキーワードから見えてくる企業や業界の動向と株式市場の展望とは?

 決算説明会で使われたキーワードから企業経営者と市場の今後を読み解く

米国株企業決算のキーワードを分析して、今後の投資方針を分析するにゃ😺分析の資料はBabbl社からのものにゃ(Babbl:https://babbl.substack.com/)

決算説明会で使われたキーワード

分析手法

今四半期の決算で使用されたキーワードを詳しく調べると、過去1年間で状況がどのように変化したか見えてきます。昨年の決算にさかのぼりをランダムに500社を抽出して使用された上位のキーワードと時間の経過に伴う頻度の変化を解析。昨年、決算説明会の語彙は劇的に変化し、平均的には比較的明るいものから、全体としては全く悲観的なものへと変化しました。

決算キーワードの傾向

この表が過去の四半期から今四半期までの決算説明会で使われたキーワードの推移です。キーワードの使用頻度が増加したものから順に並べています。

10語でわかる決算シーズン

大きく変化したキーワード

手始めに、決算説明会で常に聞く特定の単語があります。「成長 growth」、「顧客 customers」、「強さ strength」、「ガイダンス guidance」などの言葉。逆にあまり聞くことのない言葉もあります。「一時解雇 layoffs」、「削減 cutbacks」、「悲観的 pessimistic」、「誤算 miscalculated」。これらの言葉を使うことは危険信号を表します。

上昇決算キーワード Rising Earnings Keywords

最初に最近決算説明会で多く使われ始めたキーワードを見てみましょう。

損失 Losses

「損失」という言葉の言及は、2022年第1四半期から2023年第1四半期にかけて+2418%増加しており、ほぼすべてを示しています。企業は昨年に比べて何らかの理由で損失を出しています(全部または一部で)。決算説明会で平均的に「損失」という言葉を約5回言及しました。

不況 Recession

「不況」という言葉は過去と比較し +763%増加し、平均して少なくとも1回以上は言及されています。

控えめ Modest

企業が収益が「予想をわずかに下回っている」と言っている場合、それは彼らが思っていたよりも悪いことを意味します。好調な結果を説明するために「控えめ」を使う人は誰もいません。

率直に Frankly

「率直に言って Frankly speeking」についても同じことが言えます。それは通常に否定的な意味合いです。

人員 Headcount

トピックが解雇 Layoff である場合(最近よく見られます)、「ヘッドカウント」はよく使われる単語です。「人員」の言及は、過去四半期で2倍になりました。

逆風 Headwinds

「逆風に面している」など通常良い言葉ではありません。経営面で外圧にさらされていることを示します。

消えていく決算キーワード Vanishing Earnings Keywords

次に最近決算説明会で消えていくキーワードを見てみましょう。

広告 Advertising

「損失」「広告」という言葉は言及頻度が-93%下落しましたが、現在ほとんどの決算説明会では、この単語がまったく含まれていません。これは、経済見通しが悪化するにつれて、経費予算がすぐに枯渇し、削減される最初の項目が広告支出になる傾向があるためです。

予約 Booking

「予約」(つまり、レンタル、予約など)の言及は22年Q1から23年Q1で-70%。

獲得 Acquired

顧客獲得とM&A取引はどちらも減少しています。 「買収」の言及の頻度は昨年で半分に削減され、取引フローは2022年のほとんどを通じて過去最高に近いままでしたが、直近2四半期は大きく下落しました。

従業員 Employees

上記の「ヘッドカウント」という言葉とまったく同じポイント。企業は、人々を従業員に留めておく場合にのみ従業員と呼びます。

ここで締めくくると…

今期Q1の決算シーズンの説明会は昨年の基準では良くありませんでした。 そして、経済の傾向は悪化しようとしているのが見て取れます。決算シーズンもそろそろ終わりを迎えます。決算シーズンとともに米国経済とFF金利の動向を左右する経済指標も発表され、FRB・FOMC関係者からは、タカ派のコメントが多くなり、市場はCME利上げコンセンサスを見直せざるを得ない状況となっています。

期待

期待としては、3月に発表されるCPI、PPIなど経済指標がインフレ鈍化を示し、FOMCで大きな軌道修正がないことです。現在のFRB、FOMCの考えは以前よりもタカ派であり、これが以前に戻る(いずれにしても利上げはありますが)ことで、市場は安心感を得られることでしょう。

不安

現在市場のすべての関係者が心配しているのは、3月の経済指標が2月同様インフレ鎮静化に向かわないことを示した場合です。この場合、FOMCは何らかの追加措置を取らざるを得ない可能性は否定できません。FRBブレイナード副議長が国家経済委員会(NEC)次期委員長に指名され、FRBで強い影響力を持つハト派の金融当局者の1人である同氏の後任が誰になるのかさまざまな観測が浮上しています。

これからもまったく目の離せない市場が続きます。