速報!!日本政府、半導体製造装置を輸出管理対象に!

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日本政府が半導体製造装置を輸出管理対象にすることを表明しました。昨年から米国の対中制裁に含まれていた内容であり、水面下で協議が進められていたと思われます。

さて、このニュースは、日本の半導体産業にとってどのような影響を及ぼすのでしょうか?また、半導体装置メーカー各社は、中国への輸出額や機会損失額についてどう考えているのでしょうか?それでは、下記の記事を参考にしながら、詳しく見ていきましょう。

参考記事:ロイター 日本政府、半導体製造装置を輸出管理対象に 米が対中規制要請

記事の要点は以下の通りです。

・対象の仕向け地は全地域だが、米国など42カ国向けは包括許可に、中国を含めその他向けは個別許可とする。
・東京エレクトロンやニコンなど10数社が影響を受ける。
・パブリックコメントの募集を経て5月に公布、7月の施行を予定している。

輸出管理規制をよく知らない方も多いと思いますので、解説を簡単にすると、武器や軍事転用可能な製品・技術が、国際社会の安全性を脅かす国家やテロリスト等に渡らないように行う輸出規制のことです。具体的には、外為法により、輸出管理規制が行われており、規制に該当する輸出には、経済産業省の事前の輸出許可が必要になります。

我が国を含む先進国が保有する高度な貨物や技術が、大量破壊兵器等の開発等を行っているような国家やロリストに渡ること、また通常兵器を過剰に蓄積されることなどの国際的な脅威を未然に防ぐために、安全保障貿易管理が必要になります。
仮にこのような取引に自社が巻き込まれ報道等がなされれば、国内外からの批判といったことに加え、組織イメージの悪化等により業績が落ち込み、企業の存続に関わる可能性もあります。そうしたリスク回避の観点からも、安全保障貿易管理は不可欠と言えます。

経済産業省 安全保障貿易管理ガイダンスより引用

記事によると、日本政府は米国の要請を受けて、半導体製造装置を輸出管理対象に追加することを決めました。これは、中国が軍事転用する恐れがあるとして、先端半導体の製造に必要な技術や装置の流出を防ぐためです。対象となる装置は、回路線幅14ナノ前後よりも微細な半導体を製造できる高性能装置で、東京エレクトロンやニコンなど10数社が影響を受けます。これらの装置は、主にスマートフォンやパソコンなどの電子機器に使われるメモリーやロジックチップなどの生産に欠かせません。

では、この輸出管理強化は、日本の半導体産業にとってどのような影響を及ぼすのでしょうか?まず、日本の半導体産業は、世界的な半導体不足の中、苦戦しています。日本経済新聞によると、2020年度の日本の半導体生産額は約3兆円で、前年度比1.5%減少しました。一方、世界全体では約40兆円で前年度比6.8%増加しました。つまり、日本は世界市場でのシェアを失っていることがわかります。

その中で、日本が強みを持つ分野が半導体製造装置です。日本経済新聞によると、2020年度の日本の半導体製造装置生産額は約2.3兆円で前年度比13.5%増加しました。世界全体では約13兆円で前年度比16.3%増加しました。つまり、日本は世界市場で高い競争力を維持していることがわかります。

しかし、この輸出管理強化によって、日本の半導体製造装置メーカーは中国市場へのアクセスが制限される可能性があります。中国は世界最大の半導体消費国であり、自主生産力を高めるために大規模な投資を行っています。そのためそのため、中国は日本の半導体製造装置に強い需要があります。日本経済新聞によると、2020年度の日本の半導体製造装置の輸出額は約1.5兆円で、そのうち中国向けは約4000億円でした。中国向けの輸出額は前年度比3.6%増加し、全体の26.7%を占めました。これは、米国向けの約3000億円や韓国向けの約2500億円を上回る規模です。

しかし、この輸出管理強化によって、日本の半導体製造装置メーカーは中国への輸出に厳しい審査や許可が必要になります。これは、輸出にかかる時間やコストを増加させるだけでなく、中国の顧客との信頼関係を損なう恐れがあります。また、中国は日本以外の国からも半導体製造装置を購入することができます。例えば、オランダのASMLは極紫外線(EUV)露光装置という最先端の半導体製造装置を開発しており、中国からも注文があると報じられています。もし、日本が中国への輸出を制限すれば、中国は日本の競合他社にシフトする可能性があります。(オランダが足並みを揃えて輸出規制強化を行うかは不透明)

そこで、日本の半導体製造装置メーカー各社は、この輸出管理強化に対してどう考えているのでしょうか?東京エレクトロンの社長は、「政府から正式な通知を受けていない」としながらも、「米国と連携して対応する」と述べました。ニコンの社長は、「政府と連携して適切に対応する」としながらも、「影響は限定的だ」と見込みました。一方、アナリストや業界関係者は、「影響は大きい」と警告しました。特に、東京エレクトロンやニコンなどの露光装置メーカーは、中国市場で高いシェアを持っており、機会損失額は数百億円に上ると推計されています。

日本政府が半導体製造装置の輸出管理を強化すると発表したニュースは、日本の半導体産業にとって重要な意味を持ちます。今後も、この分野の動向に注目していきたいと思います。

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