コアCPIが引き締め圧力を高める、ユーロ圏インフレ減速でもECB利上げは止まらない(2023年1月)

ECB INFALTION

引用:Bloomberg Source:Eurostat

参考記事:ユーロ圏CPI、1月も前年比で過去最大 コア鈍化もECBに圧力 | Reuters

ユーロ圏インフレ率、予想以上に低下

ユーロ圏のインフレは1月に予想以上に減速しました。欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が1日発表した1月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値は前年同月比8.5%上昇。エコノミスト予想では8.9%上昇が見込まれていました。

ユーロ圏のインフレ率は3カ月連続で低下しています。エネルギー価格の低下が主な要因です。天然ガスや電気料金が下落し、燃料費も減少しました。これらの項目はCPIの約20%を占めています。

ユーロスタットは発表が来週に延期されたドイツの数字について、推計値を使用しました。ドイツではエネルギー価格の上昇が鈍化し、インフレ率が前月から1.4ポイント低下したと見られています。

コアCPI指数、過去最高水準で

ユーロ圏のインフレ減速にもかかわらず、変動の大きな項目を除くコアCPI指数は高止まりしています。コアCPI指数は前年同月比5.2%上昇と、過去最高の水準で変わらなかったのです。

コアCPI指数は、エネルギー、食品、アルコール、タバコなどの項目を除いたもので、インフレの基調を反映するとされています。コアCPI指数が高いということは、インフレ圧力が持続的であることを示しています。

コアCPI指数の上昇には、賃金上昇やサプライチェーンの混乱などが影響しています。賃金上昇は労働市場の緊張や最低賃金の引き上げによって起こっています。サプライチェーンの混乱は、新型コロナウイルスや気候変動に関連した事象によって引き起こされています。

ECB利上げ軌道、議論が白熱

ユーロ圏のインフレとコアCPIの乖離は、欧州中央銀行(ECB)の今後の利上げ軌道を巡る議論をいっそう白熱させています。ECBは昨年12月に0.5ポイントの利上げを行い、今年も同じペースで利上げを続けると示唆しています。

しかし、ECB政策委員会内では、利上げペースを緩めるべきだと主張するハト派と、賃金上昇やコアCPIの高止まりを懸念するタカ派との間で意見が分かれています。ハト派は、インフレがピークを越えたことや、オムクロン変異株による経済への影響を理由に、利上げのペースを落とすことを求めています。タカ派は、インフレが長期的に目標の2%に戻る保証がないことや、コアCPIが引き締め圧力を高めていることを理由に、利上げのペースを維持することを求めています。

ラガルド総裁は、2月の会合で再度の0.5ポイント利上げを行う意向を既に表明しており、「その後の1回でも恐らく」0.5ポイントの利上げがあると示唆しています。ラガルド総裁は昨年12月、23年最初の2カ月間のインフレ率がさらに上昇する可能性を確信するだけの十分な根拠があると述べていました。

ラガルド総裁、インフレ上昇の可能性を確信

ECBのラガルド総裁は、ユーロ圏のインフレが目標の2%に戻るまでに時間がかかると考えています。ラガルド総裁は、インフレがピークを越えたとしても、コアCPIや賃金上昇などの要因がインフレ圧力を維持すると予想しています。

ラガルド総裁は、23年最初の2カ月間のインフレ率がさらに上昇する可能性を確信するだけの十分な根拠があると述べています。ラガルド総裁は、エネルギー価格の上昇やサプライチェーンの混乱などの一時的な要因だけでなく、賃金上昇やサービス価格の上昇などの持続的な要因もインフレに影響すると指摘しています。

ラガルド総裁は、ECBがインフレに対応するために必要な措置を講じることを約束しています。ラガルド総裁は、ECBが金融政策を適切に調整し、インフレ期待を安定させることが重要だと強調しています。

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