FOMC後のパウエル議長の会見と市場の乖離とは?

パウエル議長の会見から振り返る

利上げについては大方の予想通り0.25%となりました。一方で「金融引き締めはまだ十分な効果を発揮していない」「労働市場がタイトな状況が続いている」「インフレ鈍化は主にモノの価格によるもので(輸入物価を含めたものを表現していると思われます)、サービスセクターは高いインフレを維持している」として「さらなる利上げを2~3回必要」と明言しました。

また長期的な見方としては「インフレ鈍化は初期段階」とし、「年内の利下げの可能性は低い」との見解を示しました。一方で、今年の経済成長に関しては「かなり控えめな成長」となることが議長のベースロードであると発言をしました。

中国のゼロコロナ政策停止による復調もIMFから示され、2023年の経済成長は上方修正されています。経済全体が復調するという事は、輸入物価の復調も意味するもので、すでに原油価格は底打ちを見せ始めており、中国の主要株価指数も上昇基調です。

雇用に関してはいったん失業率を上げる必要があるというのがパウエル議長の本音だと思います。失業率が歴史的に低い水準で維持される場合、インフレが収まって利下げを開始すると、再度インフレが始まる可能性が濃厚です。これはパウエル議長が会見で述べていた労働参加人数が少ないため、景気上昇に伴って求人競争が起こり給与水準が直ぐに上がってしまうためです。

米国債の逆イールドカーブは歴史的な水準

米国債も逆イールドカーブが完成しつつあり、10年ー2年の利回り差も-0.7%程度を維持。これまでの歴史で、この状態で不況にならなかったことはありません。現在の米国の利回り曲線(利回り曲線チャート)|グルフォーカス (gurufocus.com)

次回3月のFOMCで再度ドットチャートで今後の利上げが示されます。それまでに労働市場、サービス業のタイトな状況はおそらくよくなりません。利上げ状態は相当長く維持されると考えています。

さらにQTも継続される

またFRBから発表のあった通り、バランスシートの縮小策(QT)について、以前に発表した計画通り保有証券の圧縮を月間上限額950億ドルで継続する方針。内訳は、米国債の上限が600億ドル、エージェンシー債、政府支援機関保証付き住宅ローン担保証券の上限が350億ドル。FRBプレスリリース こちらのQTの継続に関しては、利下げ後も継続される模様です。

参考記事:パウエル議長会見内容 日経新聞より

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