中央銀行の引き締めにもかかわらず、なぜ債券市場は利回り低下しているのか?

ネコまま@リテラシーの見解: 株価も債権もこの状況が続くと、当然維持できなくなり、結果としてリセッションが深く長くなることになります。中央銀行が行う利上げとQTとは、市中からお金が減り、高金利ということです。株高も債券高も維持することはできません

中央銀行の引き締めにもかかわらず、なぜ債券市場は利回り低下しているのか?

世界的な中央銀行の利上げにもかかわらず、債券市場では乖離が進んでいる

世界の債券市場は、中央銀行インフレとの闘いを続けるとの姿勢を示しているにもかかわらず、上昇トレンドにある。トレーダーは、引き締めのペースが景気減速に拍車をかけるとの懸念から、利回りを下げている。

  欧州と英国では、2日に政策金利を0.5ポイント引き上げた欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行(英中銀)が、インフレ圧力は依然として高いと警告した。しかし、債券市場はこれらのメッセージを無視し、代わりに新型コロナウイルスの変異株や中国の不動産危機などのリスク要因に注目した。

  米国債市場も同様の動きを見せている。1日に米国債利回りはさまざまな年限で急低下し、トレーダーは米連邦準備制度(FRB)が年末までに0.5ポイント利下げすると予想している。FRBは物価の安定を回復させるために追加利上げが必要だとの見通しを示しているが、市場はそれに同意していないようだ。

中央銀行の威厳と市場とのコミュニケーションは順調か?

  ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジャック・マッキンタイア氏は「市場が中銀を追随していたのに対して、中銀が市場を追随する形に転じたという視点で見るとよい」とコメント。「昨年ほど中銀は市場にとって重要ではなくなった。2022年は中銀の年だったが、23年はデータの年だ」と述べた。

  債券市場の上昇は3日、オーストラリア市場やニュージーランド市場にも波及している。これらの国では、中銀が利上げサイクルを開始したばかりだが、景気減速やコロナ対策の影響で早期に終了する可能性が高まっている。

  債券市場の動きは、中銀が引き締めサイクルの終盤に差し掛かっているという信念を反映している。しかし、インフレ圧力が完全に消え去ったわけではなく、今後も物価動向に注意を払う必要がある。特にエネルギー価格や賃金上昇などは、引き締め効果を打ち消す可能性がある。

株式市場における反応

一方、株式市場は債券市場とは異なる反応を示している。欧州や米国の株式指数は、中銀の引き締め姿勢にもかかわらず、過去最高値を更新している。株式投資家は、引き締めが景気に与える影響よりも、企業の収益力や成長見通しに注目しているようだ。

  しかし、債券市場と株式市場の乖離は持続可能なのだろうか。債券市場が正しければ、景気減速が深刻化し、株式市場にも悪影響を及ぼす可能性がある。株式市場が正しければ、中銀の引き締めは適切であり、インフレを抑制しつつ景気を支えることができる。

  この問題については、まだ確信を持つことはできない。しかし、債券市場と株式市場のどちらかが間違っていることは確かだ。

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