株式投資・資産運用に欠かせないコモディティの知識

world of commodity

POINTこの記事から学べる事:コモディティを株式投資に活用する方法

コモディティと聞いて言葉は知っているものの、「分散投資先の一つ」という認識だけだったり、「株価と何か関係あるの?」と疑問を持たれる方は多いように思います。

実はコモディティは株価以上にマクロ経済・政治と深いつながりがあります。企業株価はこの影響を常に受けています。

この記事ではコモディティを実際に株式投資・資産運用にどのように活用できるか、解説していきたいと思います。

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コモディティの種類

コモディティの種類を私なりに分類するとエネルギー系金属系レアメタル系に分けて考えています。(食料系のコモディティは次の機会に(^_-)-☆)それぞれの特徴と、政治・マクロ経済との関係を解説していきます。

エネルギー系コモディティ

エネルギー系コモディティといえばコモディティでも代表的な原油や天然ガスです。資源国が世界中に輸出しているのはご存知の通りで、日本は代表的な純輸入国です。

原油は中東やアフリカの14ヵ国が加盟するOPEC(石油輸出国機構:Organization of the Petroleum Exporting Countries)が年2回会合を開催し、生産量調整などを決めます。

この会合で減産となれば原油価格は上がり、増産となれば原油価格は下がります。基本的には(表面的には)需給に合わせて増産、原産は決められることになります。

また2016年ごろからロシアなどのOPEC非加盟国とも会合が行われており、これをOPEC+と呼びます。

またご存知の通りアメリカもシェール革命以降、石油生産を急激に増やしており、現在世界一位の生産量を誇ります。アメリカ一国で世界の13%の石油生産量です。

一方でOPECの石油生産量は約44%です。ロシアの生産量は世界の生産量の11%を占め、世界2位です。つまりOPEC+になるとほぼ世界の半分の生産量を握ることとなります。

ご存知の方も多いと思いますが、政治的に米国と中東は常に緊張関係にあります。米大統領が変わるたびに中東との緊張関係は常に変化する不安定な状態が続いています。

米国はシェール革命以降、石油自給率が88%まで上昇し、明らかにOPECを重要視しなくなりました。唯一イスラエル系の米国民に配慮して、イスラエルと敵対的関係にあるイランとの緊張関係が続いていることが今も昔もかわらないところです。

一方、天然ガスに関しては原油に比較して多くの国で生産を行っています。ロシアは欧州向けにパイプラインでの供給を行っており世界一位を誇ります。

その後をアメリカ、カタール、中国、イラン、カナダ、ノルウェー、オーストラリア、サウジアラビア、トルクメニスタンなどが入り上位10国になります。これら10国で世界の生産量の約60%を占めます。

アメリカの天然ガス自給率は約95%と非常に高く原油以上に他国からの影響を受けにくくなっています。つまり米国は現時点でエネルギーに関して、他国や世界のエネルギー系コモディティ価格から直接的な影響を受けづらい国と言えます。

とは言え、輸入品はエネルギーの純輸入国からのものも多いですから(例えば日本、韓国、台湾)、そういった輸出国の物価上昇の影響を受けることにはなります。

次に天然ガスの注目すべきポイントは、今後原油に変わるエネルギーとして注目されている点です。

- 地球温暖化の観点から原油と比較してCO2やSOx、NOxの排出量が少ない。
- 天然ガスは、地球上に豊富な埋蔵量がある。原油が50年分、天然ガスは60年分と推計されている。
- 天然ガスは、LNG(液化天然ガス)やCNG(圧縮天然ガス)などの変換技術が進歩し、輸送上の問題などがなくなって来た。
- (昨年のロシア-ウクライナ紛争の影響による高騰は別にして)一般的に発電を考えた場合は、天然ガスの方がエネルギーコスト効率が良い。
- クリーンエナジーの水素の原料となる。

こういった観点からエネルギー利用に関しては原油から天然ガスに移り始めています。天然ガスは圧縮・液化して低温で輸送する方がコスト効率が非常に高いため、液化天然ガスの輸送船の製造や液化プラントの需要が高まっています。中国ではかなりの数の液化プラントが建造され、中国各地に輸送されています。

日本からも大手ガスメーカーが東南アジアの産ガス国に進出、商社と手を組んで採掘権の獲得や輸入権の獲得など積極的に対応を行なっています。

エネルギーは非資源国の各国にとって非常に重要な輸入品であり、国内の物価に大きな影響を与えます。そしてこれら非資源国の製造品は資源国にも輸出され、結果世界の物価に影響を与えるという構図になっています。

この影響はご存じのとおりインフレーションという現象で世界で表面化し、利上げなど金融政策に影響を与え、最終的に企業業績や個人所得にも影響を与えます。

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金属系コモディティ

代表的な金属コモディティはアルミニウムです。いずれも建築資材や、自動車など建築・製造関連分野で使われる材料です。

アルミニウムに関しては圧倒的に中国での生産が多く、世界の生産量の40%を占めます。建築大国である中国はアルミニウムの原料となるアルミナの産出国としても世界2位で、世界1位のオーストラリアからも多くの輸入をおこなっています。

アルミニウム生産のシェアをもう一度振り返ると、中国 – 39.7%、インド – 7.3%、ロシア – 6.7%と上位3ヵ国と西側諸国で微妙な政治的関係が垣間見えてきます。

銅の世界生産量のシェアはChile – 28.7%、Peru – 11.5%、中国 – 10.6%、米国 – 8.0%となっています。

銅は建築業の代表的な先行指数になっており、銅の需要増加はマンション、商業施設、オフィスビル、工場等の需要増加を意味します。アルミニウムもサッシ等の建材で多く使われます

この2つの指標を追いかけることで、景気判断の助けになります。ぜひ日頃から観察することをお勧めします。

ゴールド

ゴールドに関しては他のコモディティとは異なる状況があります。まずはゴールドと通貨の関係を理解しておくと、ゴールドへの理解が深まります。それではゴールドの歴史から紐解きましょう。

ゴールドは、古代から貴重な金属として知られ、世界中で様々な形で使用されてきました。特に、通貨として使用された時代については、重要な歴史的な背景があります。

紀元前7世紀ごろから、リディア王国で鋳造された金貨が初めての通貨として知られています。その後、古代ギリシャ、古代ローマ、中世ヨーロッパなどで、金貨や銀貨が広く使用されるようになりました。この時代には、貨幣の価値はその重量や純度によって決定され、金や銀は通貨として信頼されていました

中世ヨーロッパでは、金貨や銀貨は騎士や商人、王侯貴族などの富裕層の手に集中し、一般市民にはあまり普及しませんでした。また、十字軍の遠征や貴族の戦争などによって、金貨や銀貨が流出することが多くなり、通貨の不足や価値の下落が起こることがありました。

近代に入ると、16世紀から17世紀にかけて、スペインがアメリカ大陸から大量の銀を輸入し、ヨーロッパの通貨市場に影響を与えました。この時期には、金と銀の交換比率が定められ、金と銀の価格は一定の比率で取引されるようになりました。

19世紀には、金本位制度が確立され、多くの国々で金が通貨の基準として使用されるようになりました。金本位制度では、通貨の発行量が国家の保有する金の量に基づいて決定され、通貨の価値が安定することが期待されました。

しかし、第一次世界大戦後には、多くの国が金本位制度を放棄し、紙幣の発行量が増大しました。現代においては、金は通貨としての役割を失っていますが、金相場は国際的な投資の対象として重要な地位を占めています。

現代においては、金は通貨としての役割を失っていますが、金相場は国際的な投資の対象として重要な地位を占めています。金は、インフレーションや経済の不安定性から保護するための避難資産として、また、金の需要が高まるときには価格が上昇することから、投資家にとって魅力的な資産とされています。

また、一部の国では、金が現在でも通貨として使用されています。例えば、スイスのフランやアラブ首長国連邦のディルハムなどは、金貨や金の裏打ちされた紙幣が流通しています。

しかし、通貨としての金の使用は、現代の経済環境にはあまり適していないとされています。金は希少であり、採掘や加工には多大なコストがかかります。また、金による支払いは、現代の流通システムには合わないため、金を持っている人が限られ、交換が困難になるという問題があります。

そのため、現代では、紙幣やデジタル通貨など、より使い勝手の良い通貨が広く使用されています。

一方、政治的な意味合いで金に注目が集まっている側面もあります。ロシアによるウクライナ侵攻を受けロシアが経済制裁を受けたことは皆様もご存知の通りです。

ロシアのように経済制裁を受け世界の金融市場から切り離されると、制裁を受けている国の通貨の信用は下がります。これにより為替市場において制裁を受けている国の価値が下がり国際取引などで大きく不利な状況が発生します。これは現在の貨幣制度が基本的に国の信用で成り立っていることが原因です

このような状況に陥ることを警戒して、いわゆる非民主国家の各国は金を買い貯めすることを進めています。現代の貨幣制度は前述の通り国の信用で成り立ちますが、非民主国家は制裁を受けた際に19世紀に用いられた金本位制に戻ることで、自国通貨の価値を維持することを目的として、金の保有量が増加しています。

これは非常に特異的な動きで、現代が如何に民主国家と非民主国家の亀裂が深いか、そしてその状況は悪化して来ており、経済制裁を多用する民主国家への非民主国家の警戒感が強いかを示唆しています。

2010年から金の保有を増やしたランキング国家は、ロシア、中国、トルコ、カザフスタン、インド、タイ、ポーランド、イラク、メキシコ、ブラジルの順となります。

👉以前に非民主国家の金保有量の増加に関しては記事にしています。

従って現在の東西冷戦の再来とも言える政治的対立は、ゴールド価格を押し上げる可能性があります。

レアメタル系コモディティ

レアメタルとは非常に希少で需要が高い金属を指します。主なレアメタルには、リチウム、タングステン、テルル、ガリウム、インジウム、ニオブ、タンタル、セレン、コバルト、ハフニウム、ランタン、ヨウ素などがあります。

これらの金属は、携帯電話やコンピューター、太陽電池、軍事用途、医療機器などの高度な技術や産業で使用され、需要が高まっています。また、一部のレアメタルは、電気自動車などのクリーンエネルギー技術にも必要不可欠な素材であり、今後ますます需要が拡大すると予想されています。

レアメタル市場は、供給が限られているため、価格変動が激しく、投資家にとっては高いリターンを期待できる魅力的な市場となっています。しかし、供給量が限られているため、価格変動には注意が必要であり、一部のレアメタルは環境問題にも関わっているため、持続可能性を考慮することも重要です。

また、レアメタルの生産には高度な技術が必要であり、採掘や精製などの過程が環境に悪影響を与えることもあるため、社会的な観点からも問題視されています。そのため、サプライチェーンの透明性や環境に配慮した生産方法の採用が求められています。

各レアメタルの使用用途と生産国トップ3、および各国のシェア%は以下のとおりです。

  1. リチウム:主にリチウムイオン電池の材料として使用されます。また、セラミックやガラスの原料、医薬品、航空機部品などにも使用されます。
    生産国トップ3:オーストラリア、チリ、アルゼンチン
    各国のシェア%:オーストラリア(47%)、チリ(34%)、アルゼンチン(8%)
  2. タングステン:主に高速度工具や熱処理用の材料として使用されます。また、航空機部品、電球のフィラメント、放射線遮蔽材料などにも使用されます。
    生産国トップ3:中国、ロシア、ボリビア
    各国のシェア%:中国(82%)、ロシア(6%)、ボリビア(2%)
  3. テルル:主に太陽電池の材料として使用されます。また、放射線検出器、熱電変換素子、半導体材料などにも使用されます。
    生産国トップ3:中国、アメリカ、ペルー
    各国のシェア%:中国(70%)、アメリカ(11%)、ペルー(4%)
  4. ガリウム:主に半導体材料として使用されます。また、LED、太陽電池、半導体レーザー、液晶ディスプレイなどにも使用されます。
    生産国トップ3:中国、ドイツ、アメリカ
    各国のシェア%:中国(80%)、ドイツ(8%)、アメリカ(3%)
  5. インジウム:主に液晶ディスプレイやタッチパネルの材料として使用されます。また、太陽電池、半導体レーザー、半導体材料などにも使用されます。
    生産国トップ3:中国、日本、カナダ
    各国のシェア%:中国(58%)、日本(17%)、カナダ(8%)
  6. ニオブ:主に高温の炉、鉄鋼製造、超伝導体などの材料として使用されます。
    生産国トップ3:ブラジル、ナイジェリア、カナダ
    各国のシェア%:ブラジル(85%)、ナイジェリア(10%)、カナダ(2%)
  7. タンタル:主にコンデンサ、超伝導体、精密部品などの材料として使用されます。
    生産国トップ3:ルワンダ、コンゴ民主共和国、ブラジル
    各国のシェア%:ルワンダ(30%)、コンゴ民主共和国(26%)、ブラジル(17%)
  8. セレン:主に光電池、半導体、フォトニックデバイスなどの材料として使用されます。また、農業や医療などにも使用されます。
    生産国トップ3:カナダ、アメリカ、メキシコ
    各国のシェア%:カナダ(45%)、アメリカ(28%)、メキシコ(14%)
  9. コバルト:主にリチウムイオン電池の材料として使用されます。また、航空機部品、磁性材料、触媒などにも使用されます。
    生産国トップ3:コンゴ民主共和国、オーストラリア、カナダ
    各国のシェア%:コンゴ民主共和国(71%)、オーストラリア(10%)、カナダ(4%)
  10. ハフニウム:主に原子力発電所の制御棒などの材料として使用されます。また、高温ガス炉、超伝導体、半導体などにも使用されます。
    生産国トップ3:中国、ロシア、アメリカ
    各国のシェア%:中国(68%)、ロシア(11%)、アメリカ(8%)
  11. ランタン:主に照明やディスプレイ、レーザー、電池などの材料として使用されます。また、石油精製や自動車排気ガスの浄化などにも使用されます。
    生産国トップ3:中国、オーストラリア、アメリカ
    各国のシェア%:中国(80%)、オーストラリア(5%)、アメリカ(3%)
  12. ヨウ素:主に医薬品、写真フィルム、防虫剤などに使用されます。また、繊維、ゴム、プラスチックなどの染料としても使用されます。
    生産国トップ3:チリ、日本、ウズベキスタン
    各国のシェア%:チリ(35%)、日本(31%)、ウズベキスタン(8%)

西側諸国にとっても重要度の高まっている半導体やレーザー、LED、リチウムイオン電池、原子力など産業界への影響が高いコモディティがずらりと並んでいます。投資家であれば関心を持つべきであることは言わずもがなです。

一方で、見ていただいた通りここでも中国の台頭が著しく、西側諸国にとって中国との関係は非常に微妙で繊細であることがわかります。

ネコまま流コモディティ活用術

ネコままはコモディティの中でも原油と銅を特に注意して見ています。原油価格は世界の物価の先行指標として観察していて、銅は製造業(工場建設を意識してます)・建設業の景況感を意識して見ています。

レアメタルは毎日観察はしておらず、ニュース記事に出て来た時にチェックするようにしています。

金属系コモディティについて価格や在庫などの市況情報は、👉LME(London Metal Exchange)が便利です。原油と天然ガスは先物市場で確認できます。

コモディティに関しては政治的な施作や思惑で大きく左右されます。従って先を読むことはとても難しいです。ロシアの天然ガス、原油輸出制限や、👉インドネシアの原料鉱石輸出からステンレスなどの半製品輸出へのシフト政策など世界では様々な思惑で価格が動きます。

ここまでエネルギー、金属コモディティ、ゴールド、レアメタルのコモディティに関する詳細な情報とともに、コモディティごとの用途、なぜコモディティを観察することが株式投資にとっても有効かをご紹介しました。

しかしコモディティの種類は多く、これで全てではありません。ステンレスに含まれるモリブデンやニッケルなど紹介しきれていないコモディティもまだまだあります。

投資家の皆様がこの記事でコモディティに興味を持って頂いて、経済、政治、株価のこれからの見方が少し変わっていただける一助になったなら、ネコままとしては嬉しいです。

コモディティ取引に興味があればCFDも検討の一つ

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