最先端技術に欠かせない半導体、投資先としての魅力

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POINTこの記事から学べる事:半導体企業投資で重要なシリコンサイクルや主要投資先

常に先端技術の先頭を走る半導体企業に魅力を感じ、投資をしている方は非常に多いのではないでしょうか?この記事ではそのような魅力を感じている方も、それ以外の方にも知ってほしい半導体の景気循環と、これまでの技術革新の歴史をお伝えしたいと思います。

半導体企業にはシリコンサイクルというものが存在します。このサイクルは7-10年の間でピークと底を繰り返しています。サイクルが起こる要因は毎回違う要因なのですが、なぜか繰り返されています。

我々投資家にとって重要なのは、アノマリーの如くこのような事象を知識として知っておくことです。知っているか知っていないかでは次に打つ手が変わります。

まずはシリコンサイクルの歴史を紐解くとともに、今後の半導体の進化に大きく関わるAIも交えて、「半導体の未来」に関しても考えていきます。それでは始めましょう♪

半導体のシリコンサイクル

半導体業界は、その性質上、経済的な循環を繰り返すことで知られています。これを「シリコンサイクル」と呼びます。この章では、シリコンサイクルの過去の事例、循環が発生する要因、ピークと底の出荷量の差、半導体製造装置メーカーへの影響、株価への影響などについて詳しく述べていきます。

過去のシリコンサイクル

過去数十年間で、半導体業界はいくつかのシリコンサイクルを経験してきました。代表的なものとしては、2000年のドットコムバブル崩壊、2008年のリーマンショック、そして2018年の暗号通貨ブームの後の下降局面が挙げられます。これらのサイクルは、それぞれの時代の経済状況や技術革新によって引き起こされたものであり、半導体業界の需要と供給のバランスを大きく変化させました。

主なシリコンサイクル

  1. 1980年代初頭: パーソナルコンピュータ(PC)市場の急成長に伴い、半導体市場が拡大しましたが、1984年ごろに市場が飽和し、半導体業界は下降局面に入りました。
  2. 1990年代初頭: ネットワークや通信技術の発展により、半導体の需要が増加しましたが、その後のアジア通貨危機(1997年)やITバブルの崩壊(2000年)により、業界は再び下降局面を迎えました。
  3. 2003年~2007年: この期間には、携帯電話やデジタル家電の普及により、半導体市場が拡大しました。しかし、2008年のリーマンショックによって世界経済が大きく悪化し、半導体業界は再び下降局面に入りました。
  4. 2010年~2011年: スマートフォンやタブレット市場の急成長により、半導体市場が再び拡大しましたが、その後の市場飽和や経済の鈍化により、下降局面が始まりました。
  5. 2016年~2018年: IoTや自動運転、クラウドコンピューティング、AIなどの新技術の普及により、半導体市場が拡大しました。しかし、2019年以降、米中貿易戦争や市場飽和が原因で、業界は下降局面に入りました。
  6. 2021年〜2022年:コロナ禍のリモートワークなどのコロナ特需により、PCや企業のリモート会議機器の販売が大きく伸びました。しかし、WSTS(世界半導体市場統計)を見ると2022年をピークに下降していることがわかります。

このようにシリコンサイクルは10年もしくはより短い間隔で上昇と下降を繰り返してきました。一時ムーアの法則を断念する声が広がり、シリコンサイクルの終焉を唱える声が広がった時期もありましたが、精細技術のブレイクスルー(例えばASMLのEUV露光技術は代表的なブレイクスルー)やウェハー洗浄技術の革新的な発展、NANDメモリーの3D構造化などにより、ムーアの法則は今も健在です。この「諦めてしまった」側に日本の半導体企業が多かったことはとても残念ですが、これは歴史的な事実です。

ご興味ある方は、参考にこちらの東京エレクトロン「半導体産業発展を支える「ムーアの法則」の過去・現在・未来」を読んで頂くと良いと思います。2021の記事ですが、非常にマトを得た記事です。

現在のシリコンサイクル

各半導体メーカーの1-4月期の決算が出揃いました。結果を見るとコンセンサスは上回っている企業が多いものの、前年同期比でマイナスの企業が多く今回のシリコンサイクルの終焉が見えています。

特にサムスンやインテルなど代表的な企業は赤字に転落していることは非常に印象的です。またD-RAMなどの在庫の積み上がりはさらに価格下落を誘発する可能性もあり、各社生産調整に入っていますが予断を許さない状況といえます。

ここ数年間の半導体工場の特徴として工場規模の大型化が指摘されています。設備投資額は常に兆を超える額であり、設備投資の時期を一歩間違えれば簡単に赤字に転落します。

しかし過剰な心配は無用です。半導体は確かに循環型業種ではある一方で、押し並べてみれば常に成長し続けています。上昇下落が激しいとは言え、サイクルをきちんととらえることができれば、投資先としては健全だと言えるでしょう。

日本でも今年官民融合のラピダスが始動しました。IBMからの技術提供を受けてシングルnmの超微細半導体の製造を目的としています。

IBMがこの技術供与に関してグローバルファウンドリーズから提訴されていることは気がかりですが、米国と国家間の約束に基づく計画であり、日本と米国で仲裁に入り妥協点を見出すことになるだろうと想像しています。

シリコンサイクルと微細化技術の発展

シリコンサイクルの各時期における半導体の微細化(線幅)の変化を概観すると以下のようになります。

  1. 1980年代初頭: この時期の半導体は、線幅が3マイクロメートル(μm)から1μm程度でした。Intelが1982年に発表した80286マイクロプロセッサは、1.5μmのプロセス技術で製造されていました。
  2. 1990年代初頭: 1990年代初頭には、線幅は800ナノメートル(nm)から350nmの範囲でした。この時期の代表的なプロセッサである、IntelのPentiumプロセッサは、350nmプロセス技術で製造されていました。
  3. 2003年~2007年: この時期には、線幅は130nmから65nmに進化しました。例えば、2003年に発表されたIntelのPentium Mプロセッサは、130nmプロセス技術で製造されており、その後の製品では65nmプロセス技術が採用されました。
  4. 2010年~2011年: 2010年代初頭の半導体は、45nmから28nmのプロセス技術が一般的でした。この時期の代表的なプロセッサである、IntelのSandy BridgeやAMDのBulldozerは、32nmプロセス技術で製造されていました。
  5. 2016年~2018年: この期間には、線幅は14nmから10nmの範囲でした。例えば、IntelのSkylakeプロセッサは、14nmプロセス技術で製造されており、その後の製品では10nmプロセス技術が採用されるようになりました。

現在は先端半導体はシングルnmの線幅が主流となっており、汎用半導体は14nm程度が主流となっています。半導体の微細化技術は、各シリコンサイクルを経るごとに進歩しており、それに伴いデバイス性能やエネルギー効率が向上しています。ただし、各サイクルのピークや底が微細化技術の進歩と完全に連動しているわけではなく、市場の需給バランスや経済状況などが影響を与えています。

半導体製造メーカー

  • Intel: アメリカの半導体大手で、主にマイクロプロセッサやチップセットを製造しています。
  • Samsung: 韓国の電子機器大手で、半導体事業ではメモリチップやSoC(System on a Chip)の製造を行っています。
  • TSMC (Taiwan Semiconductor Manufacturing Company): 台湾の半導体メーカーで、世界最大のファウンドリ(受託製造)企業です。
  • AMD (Advanced Micro Devices): アメリカの半導体メーカーで、マイクロプロセッサやGPU(グラフィックスプロセッシングユニット)の製造を行っています。
  • NVIDIA:同社は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)の開発と販売で世界的に有名であり、コンシューマー向けグラフィックカードやプロフェッショナル向けのグラフィックソリューションを提供しています。

半導体製造装置メーカー

  • ASML: オランダの半導体製造装置メーカーで、EUV(極端紫外線)リソグラフィ装置の世界最大手です。
  • Applied Materials: アメリカの半導体製造装置メーカーで、蒸着装置やエッチング装置などの製造を行っています。
  • Lam Research: アメリカの半導体製造装置メーカーで、主にプラズマエッチング装置やデポジション装置を製造しています。
  • Tokyo Electron (TEL): 日本の半導体製造装置メーカーで、リソグラフィ装置やエッチング装置、CVD(化学気相成長)装置などを製造しています。

半導体材料メーカー

  • Shin-Etsu Chemical: 日本の化学メーカーで、半導体ウェハー(基板)やフォトレジストなどの製造を行っています。
  • Sumco: 日本の半導体ウェハー(基板)メーカーで、シリコンウェハーの製造を行っています。
  • Air Liquide: フランスの産業ガスメーカーで、半導体製造に使用される特殊材料ガスを提供しています。
  • Linde: ドイツの産業ガスメーカーで、半導体製造に使用される特殊材料ガスを提供しています。
  • Air Products: アメリカの産業ガスメーカーで、半導体製造に使用される特殊材料ガスを提供しています。
  • 日本酸素ホールディングス: 日本の産業ガスメーカーで半導体製造に使用される特殊材料ガスを提供しています。

半導体搬送装置メーカー

  • Daifuku: 日本の物流システムメーカーで、半導体製造ライン向けの搬送装置やオートメーションシステムを提供しています。
  • Murata Machinery: 日本の産業機械メーカーで、半導体製造ライン向けの搬送装置やオートメーションシステムを提供しています。

半導体封止材メーカー

  • Henkel: ドイツの化学メーカーで、半導体封止材や接着剤を提供しています。
  • Kyocera: 日本の電子機器メーカーで、半導体封止材やセラミックスを提供しています。

半導体パッケージ基板メーカー

  • Ibiden: 日本の電子機器メーカーで、半導体パッケージ基板を提供しています。
  • Shinko Electric Industries: 日本の電子機器メーカーで、半導体パッケージ基板を提供しています。

ほぼ半導体専業メーカーと言える企業もありますが、半導体材料ガスメーカーなどは専業ではなく、事業の一部として半導体事業を支えている企業といえます。日本の日本酸素ホールディングスはどちらかと言うとグロース株というよりバリュー株と見ている方も多いのではないでしょうか。

ここまでは「半導体の現在まで」を中心に据えてお話をしてきました。ここからは「半導体の次の未来」について「半導体株式投資とシリコンサイクルからAIの未来(後)」でお話をしたいと思います。

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